「腱鞘炎」という言葉を知っている方は多いかと思いますが、
「腱鞘」が何かを知っている人は少ないかと思います。
そもそも筋肉は、骨に付着していて、関節をまたぎ、連結する
もう1つ骨に付着し、関節を動かしています。
しかし、正確にいうと、筋肉が直接骨にくっついているわけでは
ありません。筋肉が腱組織という硬い組織になって骨に付着して
います。この部分での炎症を「腱鞘炎」といいます。
腱は、周囲を滑膜性腱鞘という柔らかい袋状の膜で覆われて
います。この中には滑液が含まれていて、腱がスムーズに滑走する
ようになっています。そして、この袋状の膜の外側には、
強固な靭帯性腱鞘があり、腱の固定をしています。
つまり腱鞘炎には、
の2種類があります。
炎症が起こる原因としては、細菌感染やリウマチによる
自己免疫疾患によるものもありますが、ほとんどの場合は、
繰り返えされる運動による物理的・機械的な刺激によるものです。
例えば、ピアニストやPCのタイピング、事務で作業など、同じ
作業を繰り返すような方に起こりやすい症状です。
物理的刺激が加わる部位によって、
などがあります。
今回は、腱鞘炎の中でも比較的多いドケルバン病に対するアプローチ
を紹介します。
ドケルバン病では、「長母指外転筋」という母指を外に開く筋肉
に対して的確に刺鍼することがポイントとなります。基本的には、
局所に認知覚がみられる部分に対してアプローチしますが、肘関節
の近くや、場合によっては頚部など、遠隔部に対しても施術する場合が
あります。
母指の付け根付近の長母指外転筋
に対して、鍼を繊細に操作してズーン
という響き感覚を再現していきます。
長母指外転筋は、肘関節付近に付着し、
母指まで走行する細長い筋肉です。患部ばかり
施術をしていても、症状をすべて取り除けない
ことがあります。そこで、起始部に対しても
アプローチする必要があります。
また、腱の表層よりも、深層、つまり骨側にTPが形成されやすいため、
腱をすくうように刺鍼をしなければなりません。