鍼治療というと、
「痛そう」「痛い」
と言われることがよくあります。
確かに、「鍼を刺される」という行為は怖いものです。
注射を打たれる、画びょうを踏む、など同じ針(ハリ)と呼ばれる
ものが刺さるととても痛いです。
しかし、我々鍼灸師が用いている鍼は、針と同じようにハリと呼ばれて
いますが、針とは大きく異なります。
鍼を作る技術、鍼灸師の鍼を刺す技術により、痛みを感じにくく治療
することができるようになっています。
管鍼法
日本では、鍼と鍼管(しんかん)という管がセットになった管鍼法
(かんしんほう)という刺鍼方法が用いられています。
当治療室では、鍼と鍼管がセットになって、滅菌消毒・個別包装
されたものを使用しています。
鍼管を用いることで、細い鍼でも刺しやすくなり、鍼の材質も変わ
り、現在では髪の毛ほどの太さの鍼が用いられるようになりました。
鍼
使用する鍼や鍼管そのものも改良されています。
実は、鍼先はただ鋭くなっているわけではありません。

図のように、左のJタイプは松葉のように少し丸みを帯びさせており、
Jタイプより新しいJSPは、さらに先端を丸くすることで、刺入時の痛み
を小さくすることができているそうです。
さらに鍼管の方も、皮膚と接触する部分に少し丸みをつることによって、
あたりを柔らかくしています。
→当治療室で使用している鍼について
押手の工夫
「押手」とは、鍼と鍼管を支える手の型のことをいいます。
右利きであれば押手は左手でつくります。
この押手が、痛みのない鍼を刺すために大きく影響していると
考えており、とても大切にしています。

上の写真のように、皮膚面に三角形の隙間をつくるような
押手を作ってしまうと、皮膚がピーンと張らないため、切皮痛
が強く出てしまいます。

このように、母指と示指(人差し指)の接線と鍼を刺したい
皮膚面が垂直になるような押手を作ると、鍼管を入れたときに、
皮膚がピーンと伸び、鍼がスパッと入り、切皮痛が小さく、
ほとんど痛みを感じません。